子育てにかかるお金はいくら?➀ 養育費

子育て費用

子供をお持ちの家庭やこれから子供を欲しいと考える家族にとって、子供の養育費・教育費は家計の大部分を占めることになる大きな出費。
特に、将来子供が欲しいと考えるご家庭にとっては、「一体いくら用意しておけばいいの?」「今の家計で大丈夫?」と不安に思われる方もいらっしゃるはず。

本記事を読めば、必要な金額をしっかりと理解し備えることができるようになります。
まずは、妊娠・出産から養育費など子育てにかかるお金を細かく見ていきます。
まとまった大きなお金が必要となる教育費は、次回の記事で整理していきます。

まずは必要な金額を把握することから始めて、家計のマネープランを始めてみましょう!

妊娠中にかかるお金

まずは子供を持つに先立って必要となる妊娠中にかかるお金を確認していきましょう。

妊婦健診にかかる費用

妊娠~妊婦健診40週までの自己負担:約7~10万円

妊婦健診は妊娠判定から出産まで定期的に受診する健診です。
健診費用には健康保険が適用されないため全額自己負担となりますが、母子手帳交付に合わせて自治体から補助券をもらうことができ、基本的な健診費用は公費で補助されます。

一般的に母子手帳の交付が受けられるのは赤ちゃんの心拍を確認できた後となります。正常な妊娠である事と心拍を確認できた段階で、病院の先生から「母子手帳を貰ってきてくださいね」と言われて初めて母子手帳の交付を受けることができます。

一方で、多くの方が最初に産婦人科にかかるタイミングは「妊娠したかな?」と思った頃。この頃はまだ赤ちゃんが小さく、当日に心拍を確認できないケースも多いです。
よっぽど遅く妊娠に気づいた方でない限り、多くの方は心拍確認が取れるまでに少なくとも2回は産婦人科にかかるのではと思います。そして、この2回の健診はまだ母子手帳の交付前になりますので、全額自己負担となるのです。

  • 妊娠判定前の健診費用は全額自己負担
  • 母子手帳交付後の健診費用は補助券で一部カバーされる

先に申し上げた通り、妊娠に関する健診費用は健康保険が適用されません。そのため、母子手帳交付前・交付以降のいずれにおいても、検査・健診費用は各産婦人科が自由に設定できます。
病院によっては、国が定めた内容以上に実施した方が良いと産院が判断する検査内容を実施する場合もあります。こういった追加の費用も全額自己負担となります。
また、料金設定は産院に委ねられているため、検査費用の料金設定が他院と比較して割高なケースもあるでしょう。
もし産院の選択肢が複数あるのであれば、病院のHPやネットの口コミを確認してご自身の希望に沿った産院がどれなのか、よくよく確認しておきたいですね。

例えば、筆者が選んだ産院は自宅から通いやすい立地にある一択だったので選択肢はありませんが、一般的に言われる検査費用と比較して割高でした。(例:母子手帳交付前の検査で毎回7000円~9000円の自己負担)
費用が割高であっても、通いやすさ、サービスの良さ等のメリットがあるので不満はありません!
身体の余裕がある内に、納得できるコスパなのか、事前確認しておけると良いですね。

自治体によっては、応援給付金の支給がある!:5万円 (妊娠届出後)

自治体によっては出産や子育ての応援事業として合計10万円の経済援助を行っています。
妊娠届出後に5万円、出生届出後に5万円の合計10万円です。
このお金を健診費用や後述する妊娠中に準備するマタニティ用品・ベビー用品の費用等に充てることができますね。
ただしこれは申請しなければもらえないお金。母子手帳交付時に役所で案内があると思いますので、忘れずに申請しましょう。

マタニティ用品・ベビー用品

マタニティ用品をどれだけ用意するかは個人差があります。
また、出産前に準備しておくベビー用品にもお金がかかるので確認しておきましょう。

マタニティ用品にかかる費用相場:3~5万円

ベビー用品にかかる費用相場:10~20万円

マタニティ用品はお腹が大きくなってくる5か月頃からあると安心です。
でも限られた期間にしか着用しないものなので、節約したい場合は全てマタニティ用品で改めて用意する必要はなく、普段着ているワンピースや出産後も着用できる服を意識しながら調達すると長く使えて良いでしょう。

一方で、マタニティ下着や腹帯など、変化する体系や妊婦生活を快適にするために揃えておくと安心なアイテムもあります。妊娠してすぐにまとめてそろえる必要はないので、ご自身の状況と必要性を判断しながら少しずつ揃えていけば、家計負担も分散されます。

また、出産や入院時に必要になるアイテムもありますが、産院によっては病院で既に準備してくれている場合もあります。事前に確認しておくと、余計に購入してしまった!という事を防げます。

ベビー用品は、生まれてくる赤ちゃんとの生活に備えて出産前に用意しておくべきもの。
赤ちゃんの肌着やお布団、ベビーベッドなど退院してすぐに必要なアイテムがほとんどです。
費用相場には10~20万円と大きなブレがありますが、こだわりの品を用意すればそれだけ費用は上がりますし、赤ちゃん本舗や西松屋などお手頃なお店で調達すれば節約も可能です。

※本章の費用相場はJA共済(妊婦さん必見!妊娠から出産までかかる費用を総ざらい | みらいのねだん | JA共済 (ja-kyosai.or.jp))、ままのて(【2021年度版】出産費用は平均いくら?もらえる補助をファイナンシャルプランナーが解説 | ままのて (mamanoko.jp))を参照しています。

サプリメント代

サプリメント代相場:2~4.4万円 (月2000円~4000円)

妊娠中はバランスの良い食事でバランスよく栄養を取っていく必要がありますが、食事だけでは中々難しいもの。
妊娠初期に胎児の発育に特に重要と言われるのが葉酸ですが、妊娠前少なくとも1か月前から摂取しておくべきと言われていますので、相場は11か月の摂取期間を設定しました。

サプリメントは特定の栄養素に特化した物からバランスよく様々な栄養素が含まれているものまで様々。妊婦さんへのおすすめサプリとして様々なオンラインサイトで紹介されている物の中から高価格帯の物では月4,000円程(プレミン)、一方妊娠期間のサプリを産院で処方されるサプリのみとする場合は鉄剤で月2,000円となりますので、個人の選択・産院の判断によって相場の範囲に収まるかと思います。

出産にかかるお金

出産費用

令和4年8月に厚生労働省が発表した出産費用の実態把握に関する調査研究では、令和2年時点の出産費用平均は46.7万円と発表されています。この調査結果は個室などを利用した際にかかる室料差額等を含まれていませんので、実際はもっとかかるケースもあります。
また、出産費用はお住まいの都道府県や病院の種類(公的病院または私的病院)によっても異なります。例えば一番高額な都道府県は東京都の55.3万円、一番安い都道府県は佐賀県の35.1万円といった形です。

室料差額は病院によりますので、希望の病院を選択したら調べてみましょう。
参考まで、部屋のタイプによりますが、4万円から9万円前後の差額がかかるケースがあります。

これだけ高額になる出産費用ですが、健康保険から出産育児一時金の給付を受けることができます。
子供1人に対して50万円の一時金を受け取ることができますので、出産費用としての持ち出しは大きく抑えることができます。

出産費用の全国平均:46.7万円
出産育児一時金の給付額:50万円

出産育児一時金の給付は、協会けんぽ等健康保険組合から医療機関へ直接支払われる直接支払制度が一般的です。こうすることで、産婦さんは約50万円もかかる出産費用をご自身で用意する必要がなく、50万円をオーバーした部分のみ病院へ支払いすれば良いのです。
何かと入用な時期、まとまったお金を出さなくて済むのはありがたい制度です。

もし出産費用が50万円未満だった場合はその差額の支給を受け取ることができますので忘れずに申請しましょう。
また、自治体によっては出産時の応援給付金の支給もある場合があります。自治体のHPで確認してみましょう。

出産時応援給付金相場:5万円

内祝い

お子さんが生まれると、出産のお祝いを頂く場面もあるでしょう。そのお返しとなるのが内祝いです。
内祝いの金額相場は頂いた金額の1/3~半額と言われています。
お相手の立場や関係性に合わせて決定すると良いでしょう。

両親に対しては相場にこだわることなく、お子さんの写真や名入れギフトなど記念に残るような贈り物を選ばれる方も多いようです。

ベビーシッター・ヘルパー費用

上のお子さんがいらっしゃる場合、出産時のベビーシッターの利用が必要になるケースもあります。
ベビーシッターの利用料金相場は1時間あたり1,000円~3,000円と言われています。
この他に入会金や年会費が掛かるケースもありますので、近隣のベビーシッター業者さんを調べてみましょう。

ベビーシッター費用相場:1,000円~3,000円/1時間

また、自治体でヘルパー派遣事業を行っている場合もあります。利用回数に上限がありますが、入会金や年会費が無く利用料金がお安いので使いやすいです。
利用料金は世帯の課税区分によって設定されているケースが多いかと思います。通常の課税世帯であれば2時間あたり1,680円(千葉市の場合)となっており、一般的なベビーシッター業者さんをよりお安いです。

自治体のヘルパー派遣事業を活用しよう:1,680円/2時間 (千葉市)

産前・産後に揃える赤ちゃん用品の購入費用

出産前に揃えておきたいベビー用品の相場

お子さんが生まれてからすぐ必要になるベビー用品は、出産前に買いそろえておく必要があります。
最低限必要なアイテムからあると便利なアイテムまで様々ですが、どの位が相場なのか確認しておきましょう。

出産前に揃えるベビー用品相場:10万円前後

お子さんが生まれて最初の1か月の間にすぐ必要となる肌着類、授乳用品、寝具類、おむつやお風呂などの衛生用品は、退院後にすぐ使えるよう出産前に揃えておくことになります。
ブランドものを揃える、レンタルを活用するなどご家庭の選択で費用が変わってきますので一概に相場を決めるのは難しいですが、10万円前後を想定しておけば最低限は揃えられるでしょう。

出産後に揃えていくベビー用品の相場

出産後1か月健診を境にお子さんを連れての外出も始まります。ベビーカーや抱っこ紐、お出かけ用の衣類等はその頃の必要に応じて揃えていけば良いでしょう。

出産後に揃えるベビー用品相場:10万円前後

ここで揃えるアイテムの中で一番大きなものはベビーカーでしょう。ベビーカーの価格は数万円から数十万円まで幅広いものです。使用頻度や使用する環境、予算に応じて最もコスパの良いものを検討できると良いですね。
出産前の時間がある時期に、予め夫婦で相談し目星をつけておくと良いでしょう。

出産前後でかかるベビー用品の相場:合計20万円

子供一人にかかる平均養育費

乳幼児期

無事に出産を迎えたら、ついに赤ちゃんとの生活が始まりますね。0歳~1歳頃までにかかる赤ちゃんの子育て費用相場を見ていきましょう。

被服費・おむつ代

可愛くて買いたくなってしまう赤ちゃんのお洋服ですが、すぐに着れなくなってしまい次のサイズが頻繁に必要になることも。また、頻繁な着替えを要するので充分な洗い替えも必要となり経費がかさむ要因です。
おむつについては、布おむつか紙おむつかによってコストは変わってきますが、消耗品である紙おむつを利用した場合の費用も確認しましょう。紙おむつに加え、おしり拭きなど消耗品費も合わせるといくらになるでしょうか?

1か月のおむつ代:5千円前後 × 12か月 = 年間6万円
洋服代:1着3千円前後

生まれてから1か月ほどは外出を控える期間なので被服費は多くかからないでしょう。外出できるようになると、生まれた季節によってアウターが必要となったり費用はまちまち。おさがりを活用するなど節約が家計に直結する費用と言えそうです。

おむつは、おむつかぶれ等の心配や成長によるサイズアウトも考えられるので節約しにくい・まとめ買いのリスクがあるコストです。

節約するところとそうでないところをきっちりとわきまえた家計管理ができると良いですね。

ミルク代

ミルク代は母乳育児ができるか否かにもよりますが、母乳育児をする予定だったが母乳が出ない、赤ちゃんが飲んでくれないなど予想外の展開がある可能性も。完全ミルクで育てる場合の費用を把握しておくと安心です。

1か月のミルク代相場:1万円前後 × 12か月 = 年間12万円

この他に、バストケア用品は搾乳機が必要になる場面もあります。あらかじめ用意するというよりは、必要性に応じて用意するのが賢い判断になるでしょう。

医療費 (検診・予防接種費用)

0歳~1歳までの間には定期的な乳児健診を受診することになります。平成30年3月に子ども・子育て支援推進調査研究事業が発表した乳幼児健康診査事業実践ガイドによると、3-4か月健診や9-10か月健診を実施する病院が多いようです。
赤ちゃんが最初に受ける健診として1か月健診が一般的ですが、こちらは一般的に保険が適用されず、自費での健診となります。
自治体によっては、受診費用の一部が助成される場合がありますので、確認の上活用しましょう。
なお、1か月健診の相場はお母さん・赤ちゃんの費用を合わせて1万円が相場と言われています。

健診以外の受診をする場合、義務教育就学前は2割負担、その後は3割負担で医療機関を受診できます。多くの自治体では子どもの医療費負担軽減を目的に「子どもの医療費助成制度」を実施している自治体もありますので、お住まいの地域のHPを確認してみてください。制度の適用を受けるためには申請が必要になりますので忘れずに申請しましょう。

子どもの医療費助成制度は申請が必要!

例えば、千葉市の場合は0歳~小学3年生までは通院・入院それぞれ一回につき負担額300円となっています。お薬を受け取るための調剤費は無料です。更に、第三子以降は全て無料になりますので、お子さんの多い世帯は助かりますね。

また、予防接種も生後2か月ころから受けるようになります。中でも、定期予防接種は予防接種法という法律に基づいて行われる予防接種で、公費負担=無料となります。自治体から接種の案内が送られてきますので、指定された年齢・時期に忘れずに接種することで無料対象となりますので、忘れずに接種させてあげましょう。

未就園児期

ここからは、就学区分別にみた年間子育て費用額を見ていきましょう。ここで紹介するデータは、内閣府が平成22年3月に発表したインターネットによる子育て費用に関する調査に基づいています。

未就園児にかかる年間子育て費用の総額は約85万円です。
この期間は教育費がほぼかかりませんので、子どものための預貯金・保険料や食費・生活用品費が主な出費となります。

未就園児にかかる子育て費用:年間約85万円

保育所・幼稚園児期

保育所・幼稚園に入る年齢となると、支出の中心は保育費となります。
保育所・幼稚園児にかかる年間子育て費用の総額は約120万円です。
ここから保育費等教育関連費を除いた食費や生活用品費など養育費だけの費用を見ると、年間養育費は約85万円となります。

保育所・幼稚園児にかかる子育て費用:年間約85万円

小学生

小学生になると支出の中心はやはり教育費。学校にかかる教育費に加え、学外でかかる教育費や活動費も発生してきます。小学生にかかる年間子育て費用の総額は約115万円です。
ここから教育関連費を除いて養育費だけをみると、年間養育費は約85万円となります。
教育費は公立に進学するか、または私立に進学するかによって変わってきますので、次回の記事で公立・私立別に細かく見ていきます。

小学生にかかる子育て費用:年間約85万円

中学生

中学生になっても傾向は変わりませんが、特徴的なのは塾など学校外教育費が大きく増えること。中学生にかかる年間子育て費用の総額は約160万円です。
ここから教育関連費を除いて養育費だけをみると、年間養育費は約100万円となります。食べ盛りとなり食費もかさんでくる家庭が多いようです。

中学生にかかる子育て費用:年間約100万円

高校生

高校生にかかる年間子育て費用の総額は内閣府のデータには掲載がありませんが、食費や被服費もある程度の平準化が見込まれると思いますので中学生と同等程度の年間約100万円と考えて良いでしょう。

高校生にかかる子育て費用:年間約100万円

大学生

大学生になると、自宅から通うか、一人暮らしを始めるかによって養育費が異なってきます。
主に仕送りの有無が影響する点ですが、様々な調査結果から平均を取ると、年間仕送り額の平均は約88万円でした。
さらに奨学金の平均額が年間約24万円となりますので、合計で約112万円の養育費が必要と想定できます。

大学生にかかる養育費:年間約112万円

参考にした調査結果:
全国大学生活協同組合連合会 第58回学生生活実態調査
日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」

まとめ:子供一人にかかる平均養育費

以上、妊娠期~出産、大学生までにかかる養育費を時期別・項目別に見ていきました。
まとめると子供一人あたり以下の平均養育費が必要と言えそうです。

子供一人にかかる平均養育費(0歳~22歳):約2,200万円

とてつもなく大きなお金に思われますが、22年間に渡り長期で支出していくお金です。
年間の家計収支をコントロールすることで、ご家庭にあったやりくり・節約手法を取れるとマネープランにも余裕が生まれるでしょう。

なお、当サイトで無料提供しているマネープランシートでは、子ども一人あたり年間100万円の生活費(教育費関連費用除く)を自動計上するように設定しておりますので、今回算出した平均の養育費を基にマネープランシートを作成することができます。
マネープランの作り方はこちらのマネープラン作成手順に沿って進めると簡単です。

次回の記事では、公立・私立など進学ルート別の教育関連費を細かく見ていきます。

以上

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